【旧枠モダン】黒コントロールについて
*当記事はMTGエアプレイヤーが作成した文章です。そのことをご了承の上で閲覧を推奨致します。尚、現在キリ番報告やWebリングへの加入は受け付けておりません。
- はじめに
2020年現在の旧枠モダン環境において不遇であろうアーキタイプの一つ“黒単“。どうにかして勝てそうな黒単を目指して今回のデッキを考案しました。
黒といえば“ハンデス”“クリーチャー除去”に優れた色です。しかしながらそれだけではゲームに勝利する手段にはならないため別にフィニッシャーを用意する必要があります。
旧枠モダンは使用可能カードが1000枚弱とスタンダードよりもカードプールが狭いフォーマットではありますが、フィニッシャーを務められるスペックを持つカードが複数存在しており、デッキを構築する上で嬉しい悩みとなります。
今回は黒単の特権である「堕落」をフィニッシャーに据え、補助として「魂の饗宴」を4枚採用することでドレイン呪文に特化した構築にしました。ライフをガンガン吸っていきましょう!
沼 24
強迫 4
恐怖 4
ファイレクシアの闘技場 2
もぎとり 4
魔性の教示者 3
魂の饗宴 4
精神ヘドロ 1
堕落 4
精神石 4
友なる石 4
氷の干渉器 1
次元の門 1
サイドデッキ
死体焼却 1
燻し 2
呆然 2
消えないこだま 1
トーモッドの墓所 1
防御の光網 2
石臼 2
ウルザの鎧 1
解呪3
- デッキコンセプト
- ノンクリーチャーにすることで相手のクリーチャー除去札を全て腐らせる
- マナフラッドを火力に還元する「堕落」補助輪としての「魂の饗宴」
- ロングゲームに持ち込み「次元の門」から「堕落」をサーチ
- マナブーストを絡めた速度増強で「もぎとり」の早打ちによる抗ビートダウン性能の底上げ
イシュトヴァーンおじ「もうひといきじゃ!パワーをだらくに!」
虚無ベーザ「いいですとも!」
虚無ス「つかうがいいすべてのマナを…」
虚無ス「ちんあつ」
- 各カードの採用理由
「沼」
「堕落」「精神ヘドロ」「もぎとり」と沼カードの枚数を参照するカードを多数採用している都合上土地はこれだけになります。
今回は第7版とオデッセイブロックのカードが多数含まれているためオデッセイの沼を使用しています(捨ててなくてよかった…)
「強迫」
1マナの手札破壊呪文としては最高クラスの性能を持つカードであり、旧枠モダンにおいてもその強力さは折り紙付きです。【ゴブリン】や【ステロイド】には効き目が薄いですが、ピーピングをすることで何ターン耐えられるかの計算が立てやすいためアドバンテージ面以外でも有用であり、コンボデッキやコントロールには急所を突くことができるため4枚採用しました。ゲーム後半は「堕落」を打つ前の安全確認の役目も担います
「恐怖」
2マナのスペル除去枠は他に「悪魔の布告」「燻し」「不純な飢え」などがあり、恐怖を含めどれも長所がありますが
「悪魔の布告」→プロテクション持ちに強いが狙い撃ちができない、特に【ゴブリン】相手に「ゴブリンの戦長」や「ゴブリンの群衆追い」を除去できない可能性がある
「燻し」→黒いクリーチャーにも効果があり、2020年5月現在の旧枠モダン環境においては黒いビートダウンデッキや「影魔導士の浸透者」が鳴りを潜めているため強みが活かせない。また「包囲攻撃の司令官」を消せないことが看過できない。
「不純な飢え」→タフネス2以下を除去しつつライフ2点ゲインは対ビートダウンにおいては悪くない性能、しかしながら今回の構築ではドレイン8枚体制でありライフゲインは他で賄えるため不採用に、ソーサリー除去は「もぎとり」で十分。
「恐怖」はプロテクション持ちにあたらず「惑乱の死霊」などの黒いクリーチャーにも効き目がありませんが、インスタントであり、マナコストを問わず、狙って打てるところを買って採用となりました。2マナ域で「ゴブリンの戦長」「包囲攻撃の司令官」「稲妻の天使」「樹上の村」「スキジック」を全て射程内に収めるのはこのカードだけです。
「ファイレクシアの闘技場」
1点のライフと引き換えに1枚のドロー加速、土地も呪文もたくさん手札に引き込みたいため採用です。払ったライフは後半ドレイン呪文で取り返していきましょう。
「魔性の教示者」
デッキから好きなカードを何でも手札に加えられる、黒だけの特権とも言えるカードです。2ターン目のマナファクトから3ターン目に唱えて「もぎとり」「精神ヘドロ」などの強力な呪文に繋げたり、後半は「堕落」や「次元の門」を手札に加えたりと便利な1枚です。裏を返せばソーサリータイミングで4マナを消費するためテンポがすこぶる悪く、それを軽減するためのマナファクト8枚体制でもあります。
「もぎとり」
沼カード×1のマイナス修正を与えるソーサリー、沼を4枚並べて4ターン目に唱えれば全体にマイナス4/4、殆どのクリーチャーは死亡するでしょう、今回の構築ではノンクリーチャーであるためこちらの被害は0、気軽に唱えられます。
マナファクト込みで最速3ターン目に唱えても白系ビートダウンの「栄光の唱歌」+「ヴェクの聖騎士」や「獣群の呼び声」の象トークンを始末できるため、ほぼ「神の怒り」と同じカードと考えて問題ないと思います。
「精神ヘドロ」
沼カードの枚数分相手にハンデスを突き付けるカードです。わざわざ沼を5枚並べずとも十分強力であり、このデッキなら最低でも3枚ぐらいは落とせるため「遁走」以上の仕事は可能です。「魔性の教示者」から決めると綺麗ですね。
「魂の饗宴」
5マナの4点ドレイン。ただ漫然と唱えるだけではそれほど強くないカードであり、「堕落」とはカードパワーに差がありますが
- 「堕落」4枚だけでは引き込むことができず、無駄にゲームが長引く恐れがあること
- 特に「堕落」をクリーチャーに打ち込んで延命を図らざるを得なくなったときに勝ちが大きく遠のいてしまうこと
- ダメージを与えるのではなく、ライフを失わせるため「防御円」や「崇拝」を貫通できること(特に崇拝を貫通できることは大きい)
この3点を考慮し今回は4枚採用しました。【ピットサイクル】かよ
「堕落」
このデッキのフィニッシャーです、沼6枚の状態から順当に唱えていき6点→7点→8点と与えれば理論上はゲームに勝利できます。「堕落」を3枚引くためのカードである「教示者」「次元の門」「闘技場」があり、3枚を引き込めずとも「魂の饗宴」を2枚引くことで「堕落」1枚分、また多色デッキならば「アダーカー荒原」「血染めのぬかるみ」などのライフを苛める土地が間接的にこちらの攻める負担を軽減してくれます。
「精神石」
旧枠モダンマナ加速カード1番手(私的)不要になったら新たなカードに還元できる便利な1枚です。ただしこのデッキはマナフラッドすることも前提条件の一つであり、12マナ出せる状態にすることで「次元の門」→「堕落」を1ターンで遂行できるためドロー能力はあまり使わないかもしれません。
「友なる石」
マナ加速カード2番手、旧枠モダンには「魔力の櫃」「厳かなモノリス」「スランの発電機」どころか「シッセイの指輪」も「摩滅したパワーストーン」も存在しないため泣く泣く採用することに、このデッキは他の色のマナを必要としない構築ではありますが、これのおかげでサイドデッキに「解呪」を取ることができます(旧枠モダンにおける白→黒の色対策カードは強烈なカードが多く、黒のカードだけではどうしようもないことが多々あるため、相手のマナベースを利用してこのカードから白マナを捻出します)
「氷の干渉器」
プロテクション持ちや、不意の速攻クリーチャーなどに対する保険にもなるユーティリティです。スレッショルドを達成した「秘境の処罰者」に「もぎとり」が届かない状況もこれがあれば耐え忍ぶことができます。また相手の「真鍮の都」をダメージソースにできることも小さくないメリットです。
「次元の門」
設置6マナ、起動6マナと重さの塊みたいなカードではありますが、使い減りしないサーチカードということで順当に回れば勝ちは目前になります。マナファクト8枚体制はデッキスペル枚数を圧迫してしまいますが、このカードにより後半は有効牌を確実に手元に持ってくることができるため、追い詰めたのに最後に一手足らずに挽回されるといった負け方を回避する可能性が上がります。INV~ODY期の黒コントロールには「陰謀団の貴重品室」が、旧枠モダンにはそんなものはありません、マナファクトと大量の沼を並べましょう。
サイドデッキ
「死体焼却」
「トーモッドの墓所」
お手軽墓地対策カードです、「起源」が入っているデッキや【永劫の輪廻】に対して投入します。
「解呪」
白マナが出るデッキは何かしらの対黒エンチャントが入っている可能性が高く、「崇拝」「防御円」「因果応報」など1枚でゲームを支配するカードがプールに複数存在しているため、「友なる石」から捻出できる白マナから「解呪」を使うプランを採用しました。「聖なるメサ」の対策になる点も〇です。
「燻し」
アグロ系デッキに対する5、6枚目の除去です、【ゴブリン】を始めとするこれらのデッキにはインスタント除去の枚数が防御力に直結するため2枠取りました。
「呆然」
お手軽にアドバンテージを獲得できるカードですが、「起源」加入後の旧枠モダンにおいては墓地活用するデッキが増加してしまったためメインからは投入しづらくなってしまいました。それでも【青白コントロール】【赤黒コントロール】などには気軽に唱えられるカードのため好きな1枚です。
「消えないこだま」
墓地対策兼ライブラリー破壊を1枚でこなす強烈なソーサリーです、中盤以降に唱えれば相手の主力カードを根こそぎ除外することができます。魔性の教示者から綺麗に繋がる5マナという点もグッドです。メインから採用したいところでしたが【ゴブリン】などのアグロデッキへの耐性を上げたかったので4枚目の「恐怖」に枠を譲りました。
余談ですが私がMTGを始めた2003年には2000円ほどしていたこのカード、2018年には70円で購入できました。時代は変わったのですね。
「石臼」
「防御の光網」
【青白コントロール】への勝ち筋を考えるにあたり、中途半端なクリーチャー戦略は「近づきがたい監視塔」や「聖なるメサ」に阻まれ、ドレイン呪文一辺倒ではカウンターを構えるに猶予を与えてしまいます。早いターンから「石臼」を投げつけることで対処を迫り、ライブラリー破壊が「消えないこだま」の威力を増強することにも繋がります。
「防御の光網」もカウンターへのアンチカードであり、置物対策の「解呪」「沈黙のオーラ」「解体の一撃」を絞り出すことができるため、他の置物を生かすことにも貢献します。維持できている状況なら手札破壊やドレイン呪文も通りやすいことでしょう。
「ウルザの鎧」
アグロデッキに雑に置いてもそれなりに効果があり、赤系デッキがこの手の鈍足デッキに投入してくる「魔力のとげ」を完封できることも嬉しい1枚です。緑白や白単のビートダウンがサイドから「聖なるメサ」を入れてくることもあり、それに耐性がつくのも大きいです。アーティファクトのため「天啓の光」にも引っ掛かりません。
- 採用を見送ったカード
「砂漠」
「サルタリーの僧侶」や「極楽鳥」+「怨恨」を面倒見ることで除去を節約することができるカードですが、マナファクト+砂漠のマナ込みでギリギリ唱えることによる「もぎとり」「堕落」の威力を大きく損なう点が気になり不採用としました。
「やせた原野」
サイクリング能力こそ魅力的ですが、マナフラッド上等のゲームプランであること、防御手段に乏しくスペルを唱えるのを遅らせたくないためタップインが致命的になることを考慮し不採用に。
「産卵池」
中途半端にマナを使ってブロッカーを生成するぐらいなら後半にドレイン呪文を連打してライフを挽回できるため不採用、タップインであることも大きくマイナスです。
「ナントゥーコの影」
2003年は2000円ほどしていた往年の黒いデッキにおいて活躍したカードですが、「花の壁」やプロテクション(黒)が跋扈している現在の情勢ではコントロールでの採用は厳しいと感じました。
「冥界のスピリット」
【ネザーゴー】というジャンルを産み出したほどのカードですが、これだけで勝つには10回の攻撃に成功する必要があり、2/2というサイズは壁にも象にも届かず、プロテクションとシャドーによりブロッカーにもなり得ない状況が頻発してしまうため不採用としました。このカードを使うなら「死の奈落の捧げもの」と一緒に使って4/4に育てたいところです。
「惑乱の死霊」
スピリットと違ってフライヤーであるため壁には阻まれませんが、中途半端な枚数のクリーチャーを採用することで、“相手の除去を腐らせる”コンセプトが一貫しなくなるため不採用としました。スペックそのものは強力なカードです。
「ネクラタル」
「顔なしの解体者」
除去効果を内蔵したクリーチャーたちであり、2/1先制攻撃と2/3と悪くないスペックがありますが、最終的に「もぎとり」に巻き込まれてしまうことで獲得したアドバンテージが実質±0みたいなこともあり得ます。
「隆盛なるエヴィンカー」
3/3飛行、黒以外永続マイナス1修正と「金切るときの声」や「包囲攻撃の司令官」などに刺さるカードではありますが、パワー3はフィニッシャーとしては役者不足であり、「稲妻」の射程圏内であるため難しい1枚です。「ウルザの鎧」とサイド枠で迷っていました。
「夢魔」
沼の枚数分のP/Tを持つフライヤーであり、殴れる「堕落」のようなものですが、大群で攻めかかられると結局「もぎとり」に頼ることになりこのカードも一緒に流されてしまうためこれも難しい1枚です。デザインが好きなので使いたいところ。
「悲哀の化身」
「戦慄をなすものヴィザラ」をくださいこちらがノンクリーチャーである以上コスト軽減が相手に依存することになってしまいます。このカードを使うならドレインをハンデスに置き換えて場と手札の両方を攻めていきたいところです。
「血の復讐」
ライフロスこそありますが、1マナで撃てること、アーティファクトクリーチャーも除去できること、初動の「極楽鳥」に間に合うことが「恐怖」よりも優れた点であります。サイドの「燻し」と迷ったカードです。
「ゾンビの横行」
黒コントロールはデッキコンセプト上相手のデッキによってクリーチャー除去或いはハンデスのどちらかが不要牌と化してしまうジレンマがあります。このカードは不要牌をクリーチャーに還元するカードであり、「ファイレクシアの闘技場」下ならアドバンテージロスも目を瞑ることもできますが
- 引きすぎた土地は「次元の門」を回し「堕落」の火力に充てる
- 闘技場を2枚に抑えているため手札いっぱいという状況にはなり辛い
- 捨てたいカードである「冥界のスピリット」の不採用
この3点のため、漫然と採用したところで質の悪いブロッカー生成装置にしかならないので今回は不採用としました。
「蔓延」
有用な全体除去カードではありますが、インスタント除去のほうが環境に合致していると判断したため、4枚の「もぎとり」以上のソーサリーは必要ないと思いました。
「迫害」
単色デッキには覿面強力なカードではありますが、赤単や白単、緑単は基本的にアグロやバーンであることが多いため枚数が期待できず、青単と黒単はそれほど見かけないため環境的に逆風と思われるカードです。
小型版の「頭の混乱」が実装されてほしい今日この頃であります。
「苛性タール」
「防御円」「崇拝」を貫通できる恒久ダメージソースではありますが、代わりにテンポが悪い面が気になり、基本的にノーガード戦法を取るためにライフを獲得できるドレイン呪文で一貫することにしました。
- 戦績
エアプ故何もありません
コロナがな
コロナウィルス早く終息してくれ
- 終わりに
旧枠モダンというフォーマット、本当に面白いと思います。限られたカードプールの中において無から有を創造する過程が楽しく、このフォーマットのためだけにカードの再録情報を追ってしまうほど中毒性の高い遊びです。
2020年5月現在、世間ではコロナウィルスが猛威を奮い、カードゲームが盛り下がっていることを肌で感じています。今回このような記事を書いたのは自分自身のモチベーションのためが大半を占めています。来るべきコロナダーク(勝手に命名)開けのために今日もせっせと紙束デッキを調整して次回の大会でベストを尽くせるよう努力していきます。(まだ1回も参加したことがないですが)